Netflixが昨日、約72Bドル(約11兆円)でのワーナー・ブラザーズの買収を発表しましたね。
日本語のニュースはどうしても「顧客マーケット向け」の説明が中心で、
M&A視点での構造や条件面の解説がほとんどありませんでした。
そこで、CNN・ロイター・FT などの一次情報をもとに、取引条件をM&Aの観点で整理しておきます。
■ 買収対象は「映画/スタジオ+ストリーミング事業」のカーブアウト
Netflix が取得するのは、WBD の中核である
- 映画スタジオ(Warner Bros.)
- HBO・Max を含むストリーミング部門
です。
一方で、
- ケーブルテレビ事業
- CNN を含むニュース部門
などは カーブアウト(分離) されており、
Netflix はあくまで“自社事業と強い補完関係を持つ領域”だけを購入した形です。
■ 企業価値(EV)82.7Bドル、株主への買取価格72Bドル
報道を総合すると、取引条件は次のように整理できます。
- 企業価値(EV):82.7Bドル
- 映画/スタジオ+ストリーミング部門の負債を含めた買収価値
- 株主価値(Equity Value):72Bドル
- WBD 株主への支払総額
株主への対価は 1株27.75ドル とされており、
直近株価24.54ドルに対して 約13〜14%のコントロールプレミアム となります。
(補足)
6月時点では分割・売却観測報道により10ドル台まで落ち込んでいたため、そこから見ると 175%超の“実質プレミアム” という見方もできます。
■ カーブアウト事業の「純資産」は非開示
買収でいつも問題になる、
- カーブアウト事業の“帳簿価値(純資産)”
- 含まれる負債の正確な内訳
ですが、今回も 公開情報では一切開示されていません。
WBD の負債構造はもともと重く、
何兆円規模の負債が今回の事業に紐づいているのかは、現時点では判別できませんでした。
そのため、Netflixは かなりの財務リスクを背負う可能性が高い と見ています。
■ 投資回収の鍵は「コンテンツ資産のシナジー」
ここから先は誰もが気になるポイントですが、
今回の莫大なM&A投資を回収できるかどうかは、コンテンツシナジーの実現次第です。
- Netflix の世界規模の配信プラットフォーム
- WBD の強力なコンテンツ資産(DC、Harry Potter、HBO作品群など)
- 優秀な制作スタッフの統合
- 制作効率化や IT インフラ統合によるコスト最適化
これらが組み合わさり、
① 売上成長(視聴時間・会員数増)
② 制作効率・運営コスト改善
の両方につながれば、取引価値は十分に正当化され得ます。
とはいえ、統合(PMI)では
- 制作文化の違い
- 規制リスク
- クリエイターの離脱リスク
など、簡単ではない課題も多く、
Netflixにとって 今回の買収は“攻めの一手と大きな賭け” だと感じています。
今後の統合の進捗を注視したいですね。
CNN
https://edition.cnn.com/2025/12/05/business/netflix-hollywood-bet-faq
ロイター
ReutersNetflix to buy Warner Bros Discovery’s studios, streaming unit for $72 billion今日
Financial Times
ft.comNetflix agrees $83bn takeover of Warner Bros Discovery今日
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