これまでの投稿でお伝えしてきた通り、M&Aを進める上では「デューデリジェンス(DD)」「PMI(統合作業)」と時間の流れに沿って物事を組み立てていくのが一般的です。しかし実際には、M&A後に生み出したいシナジーを出発点に据え、そこから逆算してPMIを設計するという発想が欠かせません。
聞くと当たり前のように思えるかもしれませんが、定量的にシナジーを検討し、例えば事業成長率20%以上といった高い成果をPMIで実現する必要があると認識すれば、その困難さに直面するはずです。そうした“危機感”を持ったうえでPMIの活動を構築することが重要です。
では、PMIにおいて具体的に何を見極めれば良いのでしょうか。
それは「通常では実現し得ないシナジー」を実際に具現化するために必要なリソース(“弾”)が、買収対象企業に存在するのか、そして自社側にも揃っているのかを徹底的に確認することです。足りない部分があるなら、その「不足の内容と量」を事前に把握しておく必要があります。
これこそがDDの真の目的です。単に「法務DD」「財務DD」「人事DD」とチェックリスト的に調査するのではなく、定義したシナジーを基準に、不足する要素を認識し、PMIでそこにテコ入れする。これがM&Aプロセスの本質と考えます。
一般的なM&Aの解説書ではあまり語られない話題と認識しますが、これを理解すればM&Aの本質的な成功条件が見えてくるはずです。
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