― PMIを成功させるための「元々の1」を理解すること
M&Aの現場でよく耳にするのが、「PMI(Post Merger Integration)が思ったように進まない」という悩みです。その理由のすべてではありませんが、大きな要因の一つに「シナジーを事前に十分想定していない」ことがあります。
シナジーは「1+1を2以上にする相乗効果」と表現されます。しかし、その前提として大切なのは、買収する側の“元々の1”と、買収される側の“元々の1”を、M&A前に正しく理解できていたかどうかです。
ここでいう「元々の1」とは、両社が出会わなかった場合の未来像、つまり独立して歩んでいた場合の例えば5年先分の事業計画を指します。
結婚にたとえるなら、出会う前に自分がどんな将来を描いていたのかを理解していない人は、結婚後に「思っていたのと違う」と不満を言う資格はないでしょう。企業も同じで、独立していたら本当に成功していたかどうかを冷静に検証するには、まず単独時の将来計画をしっかり持つことが不可欠です。
そのうえで、両社の事業計画を持ち寄り、「シナジーによってこの計画をどう進化させるのか」を事前に設計しておくことが、M&Aクロージングまでに必須です。ここを曖昧にしたままPMIに入ってしまうと、初めの一歩を踏み出しても足元が固まらず、期待した成果が得られなくなってしまいます。
M&Aを成功させる第一歩は、両社それぞれの“元々の未来”を理解すること。そして、それを土台にシナジー後の将来像を具体的に描くことにあります。
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