一人合同会社を起業し、運営を開始して、起業自体に大きく間違いがなかったので、後続の方に向けて、これまでの事務的作業を振り返って幾つかの記事で説明を記載していこうと思います。
今回は、その中でも特に最初のステップとなる「合同会社登記を電子申請で実施する方法」についてまずはマクロ的に全体イメージが掴める様に、別の記事で作業日程スケジュールに沿ってまとめてみます。
1. 電子申請を選んだ理由
法人設立と聞くと、書類作成や法務局への持参など、煩雑な手続きを想像する方も多いと思います。
しかし近年は登記手続きのデジタル化が進み、合同会社の設立登記もオンラインで完結できるようになっています。
私も、実際にすべて自宅のPCから作業を完了させました。
マイナンバーカード署名も含め、特別な外出や郵送を伴わずに登記が完了するのは非常に快適で、
今では「もっと早く知っておきたかった」と感じています。
2. 電子申請の主なメリット
- すべて自宅で完結できる(郵送・窓口不要)
- 印紙が不要(登録免許税は電子納付で支払い)
- 書類の修正・再提出もオンラインで対応可能
- 手続きに要する期間が短縮(通常2〜3営業日で登記完了)
特に「印紙が不要」という点は地味に大きく、電子申請では登録免許税を電子納付で支払うだけで完了します。
3. 利用するシステム
電子申請には、法務省の公式サイトで提供されている
**「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」**を使用します。
👉 https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/
このサイトから利用者登録を行い、専用の申請書作成ツールを使って必要書類をオンラインで提出します。
Macでも利用は可能ですが、電子署名機能はWindows環境の方が安定して動作しました。
4. 事前準備しておくもの
電子申請に必要な準備は次の通りです。
いずれも自宅で揃えられるもので、ほとんどの作業がオンラインで完結します。
- マイナンバーカード(電子署名付き)
マイナポータルで署名用パスワードを有効にしておきます。 - ICカードリーダー(USB接続型)
Amazonなどの通販サイトで2,000円前後で入手可能。
たとえば「NTTコミュニケーションズ製」や「SONY製」のものが安定動作します。
私もAmazonで購入しました。 - 定款(電子署名済PDF)
内容はAIツールで作成可能です。
私が当時利用していたのはGoogleのGeminiでしたが、
現在であればChatGPTを使えば、定款のドラフトを短時間で自動生成できます。
法務局のフォーマットに沿って内容を整え、最後に電子署名を付与します。 - 代表社員の就任承諾書
WordやPDFで自作可能です。印鑑は不要(電子署名で代替)。 - 出資金払込証明
資本金を自分の個人口座に入金し、その記録を添付します。
ネットバンキングを利用していれば、振込完了画面のPDF出力や入出金明細のスクリーンキャプチャーで十分です。
紙の銀行窓口証明を取得する必要はありません。 - 会社実印と印鑑証明書(任意)
電子申請そのものには不要ですが、登記完了後の銀行口座開設や各種契約時に必要となる場合が有る為、登記手続きと並行して準備しておくと安心です。(私の選定したネットバンキングには会社印は不要、会社印を使用したのは、代表社員の報酬決定会議(一人で実施)の議事録への念の為捺印とサインと、同様に旅費交通費支払い規定の決定に関する議事録の念の為の捺印とサイン程度です。)
5. 登記までの流れ
Step 1:申請書の作成
オンラインフォームで会社名、本店所在地、事業目的、出資額、代表社員などを入力します。
Step 2:添付書類をアップロード
作成した定款や承諾書を添付。定款には電子署名を付与します。
Step 3:電子署名を付与
マイナンバーカードを利用して、PDF定款に電子署名を施します。
これは「本人確認+意思表示」を兼ねる重要なステップです。
Step 4:登録免許税の電子納付
登録免許税は、資本金の0.7%が基本ですが、
6万円に満たない場合は一律6万円となります。
たとえば資本金が100万円の場合、0.7%=7,000円ですが、実際の納付額は最低税額である6万円になります。
(参考:登録免許税法 第5条、法務省「登記・供託オンライン申請システム」案内)
支払いは電子納付番号を取得して行います。紙申請のように印紙を貼る必要はありません。
Step 5:登記申請を送信
申請完了後、2〜3営業日で「登記完了」メールが届きます。
登記事項証明書もオンラインで取得できます。
6. 登記完了後に行うこと
登記が完了したら、次の手続きも忘れずに行います。
- 会社印の作成
- 法人口座の開設
- 税務署・都道府県への開業届出
- 必要に応じて社会保険・労働保険の届け出
ここまで進めば、会社としての実質的な活動を開始できます。
7. 実際にやってみて感じたこと
最初は「電子署名」「電子納付」など聞き慣れない言葉が多く、少し不安でした。
しかし、やってみると実際はシンプルで、慣れれば30分〜1時間ほどで申請できる手続きです。
AIのサポートも活用すれば、登記に必要な定款や承諾書なども短時間で整えられます。
自分で会社を設立するプロセスを経験することで、会社経営の“始まりの部分”を深く理解できた気がします。
8. まとめ
- 合同会社の登記は自宅で完結可能(申請も納付もオンライン)
- 登録免許税は資本金の0.7%(最低6万円)
- AIで定款をドラフト、ネットバンキングで払込証明も可能
- 印紙不要で電子納付、法務局へ行く必要なし
- 会社実印は登記後の運用に備えて準備しておくと安心
これから起業を考えている方にとって、最初の一歩を自分の手で踏み出すのは大きな意味があります。
次回は、電子定款の作成方法やマイナンバーカード署名の実際の手順についてもまとめていきたいと思います。
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