皆さん、こんにちは。前回は、定年を目前に控えた私が、M&Aという専門職の最前線で感じていたキャリアの孤独と、恵まれた環境だからこその深い迷いについてお話ししました。羅針盤のない海をさまよう船のような心境の中、私は「AI」という一つの武器を手に入れたのです。
今回は、このAIとの対話を通して、どのように自分の人生設計を具体的に整理していったのか、そのリアルなプロセスをご紹介します。
羅針盤のない海、AIに投げかけた最初の問い
私はまず、頭の中でぐるぐる回っていた定年後の選択肢を、AIにすべて投げかけました。
- 会社に残って再雇用制度を利用する
- 他社へ転職する
- 専門知識を活かしてコンサルをする
- 自分で会社を立ち上げる
- 趣味の延長で事業を始める
- 資産を切り崩しながらスローライフを送る
「再雇用制度」に潜む、見えないキャリアの罠
この多岐にわたる選択肢の中で、まず私がAIに詳しく尋ねたのは、**「会社に残って再雇用制度を利用する」**という道でした。これは多くの人にとって、最も身近で「安心」な選択肢のように見えますが、私はこの制度が持ついくつかの致命的な側面を、AIとの対話を通じて見出すことになります。
① 埋められない制度のギャップ: 定年直前までPMI(買収後統合)のような活動にアクティブに関与していた私のような人間にとって、60歳で「退職」という制度は、違和感しかありませんでした。力が有り余っているにもかかわらず、制度上の都合で継続性が断ち切られてしまう。そもそもこのシステムは、年金支給年齢の延長という社会的な背景から生まれた側面が強く、企業側も給与レンジの低い若手への入れ替えを促進したいのが本音ではないかと感じたのです。
② 居心地の悪い立ち位置: 再雇用された社員は、役員や特別なポストに就かない限り、現役時代とは全く異なる居心地の悪い立ち位置で業務を続けることになります。年間契約社員に格下げされることが多く、職務や職位が5年間保証されるわけでもありません。このような状況で、高いモチベーションを維持し続けるのは極めて困難です。
③ 65歳以降の長い人生: さらにAIとの対話は、その先の人生にも及びました。再雇用で65歳を迎えても、その先には10年以上の人生が残っています。再雇用後の「普通職」での在職経験は、その後のキャリアを考える上で、やりがいや尊厳のある仕事に就くのをほぼ不可能にしてしまうのではないかという懸念が浮かび上がってきました。
④ 財務的なジレンマ: そして最も深刻なのは、財務的な問題です。サラリーマン時代の所得税や社会保険料は会社が控除してくれますが、再雇用後の給与は大幅に下がるのが一般的です。しかし、そこから収入を増やすのは難しく、減らすわけにもいかないため、モチベーションが低くても「いやいや続けるしかない」という厳しい現実に直面することが見えてきました。
AIとの対話は、これらの見過ごされがちなリスクを客観的に浮き彫りにし、私の中にあった「安定」という幻想を打ち砕いてくれました。
参考文献のご紹介
今回の考察にあたり、実際に私自身の思考を整理する上で大変参考になった書籍をご紹介します。
大杉潤 著『定年ひとり起業』
この本には、定年後の働き方や、会社に頼らない生き方を考える上での具体的なヒントが満載です。もし、今回の記事を読んで、ご自身のキャリアについて深く考えてみたいと思われたら、ぜひ一読をおすすめします。
もし、この記事を読んで、「自分も同じような悩みを抱えている」と感じた方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。AIの力を借りて、あなたの状況に合わせた具体的な解決策を一緒に探していきましょう。
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