さて、前回投稿までで、当社の提案するSySIという手法に基づいて、M&Aのシナジーを8軸の評価軸に分解する事を紹介しました。
そのうちの3軸は従来のM&Aの教科書に紹介されている、売上、コスト、財務シナジー、残り5軸が人材・組織、知財・技術、規制、市場・競争、IT・デジタルで、これらはM&Aの先行事例の分析を基にM&Aの実施者達が実際に設定する指標であることをご説明しました。
そして、前回の再掲図になりますが、下図をご覧ください。
この様な分析手法に基づき、M&Aケースを俯瞰すると、公表の情報から前者3軸のKPIしか主に見えないものは、所謂Financial Buy Out型つまり、会社を資産価値として取得して、少々お化粧をしてそのまま、高値で企業または事業転売をして利鞘を求めるタイプのM&Aであるとか、
同様に後者5軸のKPI側に主眼を置く様なM&Aは、事業に特徴を持ったKPIにフォーカスしてM&Aの買収を実施して、それによるリターンを求めるStrategic Buy Out型であるという様なことが見て取れます。

ここで、繰り返しになりますが、PLやBSの直接評価とつながる3軸と、5軸のKPIとは経済数値としては関連しあっているので、たとえ5軸側のKPIに軸足を置いていても3軸側の数値が低すぎると、結局M&Aでの経済効果が発露されていない事になります。
ただ単に5軸側が突出していればそれでOKでないところがM&Aの難しいところです。
(余談になりますが、
外部公表されるM&Aの情報は、特に買収後となると、買収側企業内で被買収企業を内包することになったファミリー事業の情報とならざるを得ません。
その為買収を実施した企業が大きくなればなるほど、関心のM&Aの案件の背後にこの案件を支えるファミリー事業の資本が控えている事になります。
その為、”3軸の直接のパフォーマンスが悪くとも、そこはこれらファミリー事業の資本が支えるので、それで構わない、M&Aの結果の良し悪しは、想定していた事業のKPIの実現をまず優先する”、という視点もあります。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)マトリックス的に見て、稼いだ事業で得た資金を次代の為の事業に投入するのは当然です。問題はその投資投入で対象のM&A案件が想定の成長をし、そのファミリー事業からの投入を含めてM&Aコストを回収するか否かになります。)
当社が主眼を置くM&Aケースは二者が融合して生み出すシナジーに主眼を置いているものなので、データのほとんどはSBO型のものです。強いてFBO型の一例をお示ししますと、下記のフォートレスの様な形になります。

さて、前置きが長くなりましたが、以降基本SBO型のケースについて議論していく事として、では、一体どのようなKPIの設定の仕方をすると、概評としても評価されるM&Aになるのでしょうか。
この議論の為にSySIでこれまで集めた200件強の(データケースは現在も追加中です)ケースデータで、一般的に成功と呼ばれるもの、失敗と呼ばれているものの典型的な2つのケースのSySI分析結果をお示しします。
Positive Case例

Negative Case例

これらのレーダーチャートを見て、みなさまどのような見立てをなさいますでしょうか…
次回に続く
ご関心があれば、実際にご覧いただけます。 御社の業種をお知らせいただければ、その業界の代表的なSySI™分析を、1週間ご覧いただける専用ページをお送りします。費用はかかりません。
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創夢パートナーズは、M&Aプロセス全体においてシナジーの設計・評価を専門とし、独自フレーム SySI™(Synergy Suitability Index™)により、シナジー仮説を8軸で構造化・定量評価します。案件ごとのシナジー構造は、Synergy DNA(レーダー)として可視化されます。
連載「ところで、M&Aのシナジーって?」
- 第1回 ところで、M&Aのシナジーって一体どんなもの?
- 第2回 M&Aのシナジーを考える前に ― その車は、買うべきか、借りるべきか
- 第3回 借りたものは、返せます ― それでもM&Aで会社ごと買う理由
- 第4回 M&Aのシナジーとは、他社には払えない金額を払える理由です
- 第5回 M&Aのシナジーの種類は8つ ― 目的はひとつでも、効き方は8つに出ます
- 第6回 買ってよかったM&Aと呼ばれるためのKPIの設定の考え方(1/3)(この記事)
- 第7回 買ってよかったM&Aと呼ばれるためのKPIの設定の考え方(2/3)
- 第8回 買ってよかったM&Aと呼ばれるためのKPIの設定の考え方(3/3)
- 第9回 シナジーと買収価格の関係 ― いくらまでなら、払ってよいのか
第10回以降も、順次公開していきます。


