ロームの今期見通し・前期決算が公表されました。
報道によれば、ロームの2026年3月期はSiC事業関連の減損損失などにより、最終損益が1,584億円の赤字となったとのことです。一方、2027年3月期は黒字転換を見込むとされていますが、SiCを中心とした投資回収の難しさが改めて浮き彫りになった印象です。
また、デンソーはロームに対する買収提案を撤回しており、今後はローム、東芝デバイス&ストレージ、三菱電機によるパワー半導体三社連合の検討が軸になっていくものと思われます。
個人的には、デンソーによるロームへのTOB、あるいはそれに近い形での資本・事業統合の方が、ビジネス上はより分かりやすく、有益なスキームではないかと見ていました。
デンソーには自動車産業における明確な需要側の視点があり、ロームのパワー半導体技術をどの市場に、どのように活かしていくのかという点でも、比較的ストーリーを描きやすかったためです。過去の記事でも、デンソー×ロームの組み合わせについては、単なる規模拡大ではなく、顧客接点・技術開発・製造体制を含めたシナジーの可能性があると考察してきました。
一方で、ローム、東芝デバイス&ストレージ、三菱電機の三社連合は、国内パワー半導体の再編という意味では大きなテーマですが、今回のロームの決算は、その発射台としてはあまり良い兆しとは言いにくいと感じます。
もちろん、半導体事業、とくにSiCのような投資先行型の領域では、短期の損益だけで事業価値を判断することはできません。しかし、過去の国内半導体系・ディスプレイ系の連合を振り返ると、「日の丸連合」という看板の下で期待先行となり、結果として鳴かず飛ばずの状態になったり、国費を多く投入して支える展開になったりした事例も少なくありません。
今回の三社連合が、そのような過去の再現にならないことを期待しています。
重要なのは、単に国内企業を束ねることではなく、どの顧客に、どの製品で、どのタイミングで勝つのかを明確にすることだと思います。設備、技術、人材、顧客基盤を寄せ集めるだけでは、シナジーは自然には発生しません。
デンソーのTOB撤回は残念ですが、これで終わりではなく、むしろロームを中心とするパワー半導体再編の本当の難しさがここから始まるのだと思います。
今後も、三社連合が単なる再編スキームにとどまらず、実際に競争力ある事業体へと変わっていけるのか、引き続きウォッチしていきたいと思います。
関連報道
ローム、パワー半導体で減損1936億円 26年3月期の最終赤字1584億円
関連する過去記事
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https://www.soumupartners.com/denso-rohm-tob-watch-sysi-qualitative-analysis/
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