昨年末、会長からの強い業績プレッシャーが一因とされる不適切会計問題が報じられ、残念な思いを投稿しましたが、その続報です。
第三者委員会の調査結果が公表され、本日の報道では、減損や評価損に関連する影響額が約2,500億円規模に上る可能性があるとのことです。金額の大きさだけを見れば、一般企業であれば経営が揺らぎかねない規模です。
日経記事によれば、「資産性のない原材料や製品に資産性があると偽って棚卸資産の評価損を計上しなかった事案や、固定資産の減損を回避した事案、費用計上を先送りした事案などがあった」とされています。
同社はM&Aを成長戦略の中核に据えてきた企業です。今回の事案が、M&Aに直接関係しているのかどうかは現時点では明らかではありません。しかし、私の立場からどうしても気になるのは「のれん(買収暖簾)」の扱いです。
■ のれんと減損の基本構造
買収時には、取得対価と被取得企業の純資産との差額が「のれん」として計上されます。
- 日本基準:一定期間で償却(原則20年以内)
- IFRS:償却せず、毎期減損テストを実施
IFRSでは、将来キャッシュフローの見積りに基づき、回収可能価額を評価します。
事業計画やブランド価値が毀損し、回復不能と判断された場合に減損が認識されます。
買収価格にプレミアムが上乗せされれば、その分のれんは増加し、投資回収リスクも高まります。日本基準では税務上の損金算入効果がありますが、IFRSでは減損が発生すれば、それは「当初想定した企業価値が十分に発現しなかった」ことを意味します。
外部環境要因であればまだしも、DDやPMI計画の精度に起因するものであれば、M&A実務に携わる者としては重く受け止めざるを得ません。
■ 今回の件で気になる点
今回報じられている不適切会計の中に、固定資産の減損回避が含まれているとの記述があります。
IFRS適用企業においては、減損テストの前提となる将来見積りの妥当性が極めて重要です。今回の問題が、単なる費用計上の時期ズレに留まるのか、それとも将来見積りの前提に影響を及ぼすものなのかは、今後の開示を注視する必要があります。
同社は日本企業の中でもM&Aをレバレッジに成長してきた代表的存在です。
だからこそ、本件がM&A戦略そのものの評価に影響する話ではないことを願っています。
M&Aは、本来企業価値を創出するための戦略です。
会計処理の問題が、その本質まで疑われるような事態にならないことを期待したいと思います。
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参考情報:
ニデック、減損2500億円規模 「永守氏が会計不正容認」第三者委報告


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