日本電産(現ニデック)の継続ウォッチです。
同社については、これまでに「日本電産・永守会長とM&A」(2025年12月)と「その2」(2026年3月)で書いてきました。「牧野フライスに対するMBKのTOBに政府介入」でも少し触れています。国内でも特にM&Aに積極的な会社で、この手法を活用した事業拡大と、それを社内で英断しリードしてこられた永守さんを、興味深く拝見してきました。
■ その後に表へ出てきたこと
残念ながら、その後に表に出てきたのは、やや歪んだ社内リーダーシップだったようです。
2025年夏に不適切会計の疑義が生じ、10月に東証から特別注意銘柄に指定されました。永守重信氏は2025年12月に代表取締役を辞任して名誉会長(非常勤)となり、2026年2月に名誉会長も辞任して、経営から退かれています。解任ではなく、ご本人の意向による辞任と報じられています。
そして2026年9月30日、2026年3月期の有価証券報告書について、監査法人が「意見不表明」としました。前期(2025年3月期)に続いて2期連続です。決算の内容について監査法人が意見を述べられない状態が、2年続いているということになります。
■ 他人事として読めない
私が過去に就業していた会社でも、似たことがありました。
1990年代からの有価証券の含み損を簿外に先送りし、その解消に医療機器メーカーの巨額買収を使った、という事案です。当時の社長と副社長、常勤監査役が逮捕され、のちに執行猶予付きの有罪判決を受けました。社名も個人名もここでは伏せますが、いずれも公表されている事実です。
この手の事件が起きると、これまで正であった過去の社内の意思決定が、ぼろぼろと綻びを露呈して否に変わっていきます。済んだはずの決裁が次々に掘り返され、社内が落ち着かない時期がしばらく続く。当事者としてその空気の中にいた身としては、今のニデックの社内を想像すると、共感できるところがあります。社長交代も度重なっていますが、多くの社員の方のためにも、早く安定稼働に戻ることを期待したいと思います。
■ 旧コパル電子のカーブアウト
そんな中で、表題の件です。
報道によれば、ニデックは子会社のニデックコンポーネンツを、米カーライル・グループに1,000億円超で売却する方向で最終交渉に入っています。同社は1967年にコパル電子として設立され、1998年に日本電産が資本参加、1999年に日本電産コパル電子へ社名変更、2000年に東証二部上場、2014年に完全子会社化されて上場廃止となり、2023年に現社名になりました。スイッチ、トリマ、センサ、ポテンショメータ、エンコーダなどを手がける電子部品メーカーです。
ニデックが主要子会社を手放すのは、これが初めてと報じられています。
私の認識する限り、コパル電子は、日本電産がM&Aという手法で大きく飛躍していく経験づくりに貢献した買収のひとつです。そのM&Aで伸びてきた会社が、会計問題が表に出てから一年ほどのうちに、おそらくは財務的な事情もあって、今度はその会社を手放す側に回ったという事になります。
今回の買い取り先はファンドとのことなので、いずれどこかに転売される宿命にあります。同社が最終的な買い手とシナジーを発露するのは、それ以降という事になります。
カメラの仕事をしていた頃に、この系列の部品にお世話になった者としては、次の行き先でそのシナジーが発露し、社員の方とご家族の幸せを含めた、さらなる飛躍につながることを期待したいと思います。
当社は、M&Aのシナジーを可視化・定量化することを専門としています。
買収プレミアムを何で埋めるのか、その構造を案件の手前で整理したい方は、お問い合わせください。
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参考情報:
ニデック26年3月期有報、監査法人「意見不表明」
ニデック、旧コパル電子売却「検討は事実」 カーライルに1000億円超で


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